特定支出控除の対象になるための厳しい条件とは?
サラリーマンやOLさんなどの給与所得者でも仕事に関する支出を経費として認めてもらうことができる特定支出控除ですが、その対象になるのは非常に厳しい条件が設定されています。
特定支出控除の条件
- 特定支出に該当する支出金額がその年の給与所得控除額の半分を超える
- 会社がその経費が仕事で直接必要だったという証明書を発行する
- 領収書等の必要書類を保管しておき確定申告で経費計上する
1、2に関しては特に厳しい条件が設定されていると思いますし、それがネックで特定支出控除の対象にならず、経費計上できない人がほとんどです。
ただ特定支出控除の対象になる人も少なからず存在していますので、仕事に関する支出が多い人は一度ご自身が対象かどうかチェックすべきでしょう。
特定支出控除に関しては支払った年の翌年から5年間の間に申告すれば大丈夫なので、過去にさかのぼって確認してみてください。
特定支出控除で経費として認められる範囲や項目は?
特定支出控除は平成24年度に制度が改善され、これまでよりも使いやすい制度になりました。
しかし特定支出控除の認知度は低く、対象者にも厳しい条件が課せられていますので、なかなか利用されていないのも現状です。
特定支出控除の対象範囲とは?
- 業務に関連する図書の購入費用
- 業務に関連する衣類の購入費用
- 業務に関連する交際費用
- 単身赴任者の帰宅にかかる費用
- 業務に関連する研修にかかる費用
- 資格を得るためにかかる費用
- 通勤にかかる費用
- 仕事の都合で引っ越しする際の費用
全部で8項目あり、6、7、8に関しては合計65万円まで特定支出控除の対象になりますがそれを超える分は対象になりませんので予め理解しておきましょう。
実際にどのような部分で使えるのか、少し詳しく説明したいと思いますので、特定支出控除が利用できないかチェックしてみてください。
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業務に関連する図書の購入費用とはどのようなものが対象になる?
平成24年に特定支出控除制度が改正されたことで新たに追加されたのが図書の購入費用。
図書購入費用として
- 職務関連の本
- 職務関連の雑誌
- 新聞
このあたりの業務に関連する書籍や雑誌の購入費用が経費として認められるようになりました。
業務に関連する衣類の購入費用とはどのようなものが対象になる?
平成24年に特定支出控除制度が改正されたことで新たに追加されたのが衣類の購入費用。
衣類購入費用として
- 会社の制服
- 事務服
- スーツ
- アパレル関係の自社ブランド服(職務中の着用が前提)
スーツが経費になるということで特定支出控除を知った人も多いかもしれませんが、アパレル関連の自社ブランドの費用の方が特定支出控除を利用しやすいでしょう。
業務に関連する交際費用とはどのようなものが対象になる?
平成24年に特定支出控除制度が改正されたことで新たに追加されたのが業務に関連する交際費用。
交際費用として
- 接待に関わる費用(キャバクラやゴルフもOK)
- 取引先へのお歳暮やお土産費用
ほとんど会社が負担することも多い交際費用ですが、個人的にお付き合いのある取引先の方との関係構築にはつかえそうです。
ここまでの3項目に関しては合計で65万円が上限金額になります。
単身赴任者の帰宅にかかる費用とはどのようなものが対象になる?
業務上の都合で単身赴任をしている場合、自宅への帰宅に関する費用は年間何度か会社は負担してくれますので、あまり自己負担をしていないかもしれません。
しかし家庭の都合等で何度も自宅への帰宅が必要な場合は、特定支出控除で経費計上できるかもしれませんが、なぜ帰宅しなければならないのかなどの証明が必要になるでしょう。
業務に関連する研修にかかる費用とはどのようなものが対象になる?
仕事上必要になる技術を習得するために必要になる研修費用も特定支出控除の対象になります。
ただ会社員の場合はほとんどが会社負担になりますので、自己負担で研修に行く場合以外は対象になりません。
資格を得るためにかかる費用とはどのようなものが対象になる?
仕事上必要になる資格取得のための費用も特定支出控除の対象になりますが、これも自己負担した場合のみ。
仕事上必要になる資格取得とは
- 自動車運転免許
- 簿記
- 英語検定
- 弁護士
- 医師
- 公認会計士
これらの資格を取得するために自分で費用負担をした場合は、特定支出控除の対象ですので、領収証等は保管しておきましょう。
通勤にかかる費用とはどのようなものが対象になる?
通勤に必要な交通費は基本的に会社側が負担してくれますが、会社支給の交通費を超える自己負担分は特定支出控除の対象にすることができます。
通勤にかかる費用として
- 自己負担のパートや派遣社員
- 新幹線通勤等を自己負担でしている
このような場合以外はあまり交通費関連の費用を特定支出控除として経費計上するのは難しいでしょう。
仕事の都合で引っ越しする際の費用とはどのようなものが対象になる?
業務上の都合で引っ越しや転勤をする場合、ほとんどの企業で会社負担で引っ越し費用を負担してもらえます。
しかし超過分や自己負担額がある場合は、それは経費計上できるので特定支出控除の対象になりますので、領収証等を分けて出してもらうなどの工夫が必要です。
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特定支出控除の計算方法は?
特定支出控除の対象になるのは、特定支出に該当する支出の合計金額が給与所得控除の半分を超える場合のみ。
まずは給与所得控除額を知る必要がありますので簡単な一覧表を紹介すると・・・
給与収入 | 給与所得控除額 |
65万円未満 | 一律65万円 |
65万円以上180万円以下 | 収入×40% |
180万円を超え360万円以下 | 収入×30%+18万円 |
360万円を超え660万円以下 | 収入×20%+54万円 |
660万円を超え1,000万円以下 | 収入×10%+120万円 |
1,000万円を超え1,500万円以下 | 収入×5%+170万円 |
1,500万円を超える場合 | 一律で245万円 |
上記計算式で算出された金額の半分以上を経費として利用している場合には、特定支出控除として計上できる可能性がありますのでチェックしてみてください。
サラリーマンでも経費が使える特定支出控除の記事まとめ
この記事ではサラリーマンでも経費が使える特定支出控除について、具体的な項目をあげて説明してきました。
年間の給与所得控除額の半分以上を仕事上の経費として利用しているのなら、特定支出控除の対象になる可能性があります。
給与所得控除額として経費計上できれば節税効果が期待できますので、計算等が大変かもしれませんが、一度確認してみるべきでしょう。
特定支出控除の対象範囲
- 業務に関連する図書の購入費用
- 業務に関連する衣類の購入費用
- 業務に関連する交際費用
- 単身赴任者の帰宅にかかる費用
- 業務に関連する研修にかかる費用
- 資格を得るためにかかる費用
- 通勤にかかる費用
- 仕事の都合で引っ越しする際の費用
ポイントは業務に必要なことで会社はそれを証明する書類を出してくれることですので、会社側の協力も得なければいけませんが利用できれば十分にメリットはありますよ。
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