海外移住で年金はどうなる?グローバル化の年金への影響は?

お金の知識

海外移住で年金はどうなる?グローバル化の年金への影響は?

れいちゃん
友達が海外に引っ越したんだけど、そういう場合って年金ってどうなるの?
年金も加入期間の長さでもらえるかどうかが変わるので、加入期間が短ければもらえないこともあるかもしれないよね。
しょうくん
れいちゃん
やっぱりそういうことあるんだ、まだ10年加入してないし受給資格がないから、将来的に不安じゃないのかな・・・。
海外に住んでいる期間によっては日本の年金に加入できたりする優遇制度もあるので、海外に出た際の年金制度について詳しく説明するね。
しょうくん

海外で働くことで年金制度で発生する問題とは?

グローバル化社会が進んで、ヒト・モノ・カネの動きについては日本国内だけではなく、世界規模で考える必要があります。

若い世代でも海外に出ていく人や日本企業から派遣される形で海外に移住する人も増えていますよね。

商社などでは若いうちに数年間海外勤務を経験することも一般的ですし、海外旅行に行って、その国が気に入って移住してしまう人も。

2017年時点で海外で生活してる日本人はおよそ135万2,000人ほどもいると言われており、過去最高を更新し続けています。

海外在留邦人数調査統計 外務省

出典:海外在留邦人数調査統計 外務省

平成元年と平成29年を比較すると、海外長期滞在者は2.5倍にもなっていますので、わずか30年の間に劇的に増えていることがわかりますよね。

日本人が海外に出ていくことで現状の年金制度では、2つの大きな問題が発生します。

グローバル化の年金問題は、日本人が海外に移住・長期滞在することだけではなく、外国人が日本で働く場合にも当てはまります。

2017年度の統計データでは日本国内で働く外国人は過去最高の127万人(前年比18%増)という状況になっており、今後さらに労働者数が増えることが予想されていますので、そのあたりのことも注意しなけばなりません。

海外に行くことで起こる年金問題は

  1. 年金の二重加入問題
  2. 年金の受給資格の問題

実際にどのようなことなのか?対処方法や対策などがあるのかも含めて、海外に出ていくことで起こる年金問題について考えてみましょう。

年金の二重加入問題

日本企業から海外に派遣されて、現地の労働ビザを取得した場合、日本の公的年金制度と派遣先の国の公的年金制度の両方に対して加入・負担をする義務があります。

年金に二重で加入して保険料を負担しなければならないという状況に陥ります。

年金の受給資格の問題

日本の年金制度では、老齢年金の受給資格として一定期間の加入を義務付けており、海外で公的年金制度に加入しても受給に必要な加入年数を満たすことができない場合も。

その場合、負担した分の年金は掛け捨てになって無駄になります。

日本だけではなく世界規模で、受給資格がないことで将来的に年金がもらえない人が増えないように「社会保障協定」が結ばれるようになりました。

社会保障協定の目的

  • 協定締結国では保険料の二重負担をなくす
  • 協定締結国なら加入期間を通算期間に反映させる

このようにすることで、グローバル化社会に対して各国の公的年金制度が対応するようになってきています。

海外に住んでいてもその国の公的年金を受給することができる

日本人だけではありませんが、滞在ビザや労働ビザを取得して、正規に滞在している場合は、それぞれの国で社会保障(年金含む)に加入する義務があり、その国の受給要件を満たすことで給付の対象になります。

日本と滞在国の間で、「社会保障協定」が締結されていれば、二重加入や加入期間の通算などの優遇措置を受けることができますので、そのような国に移住する分には問題は起こらないでしょう。

社会保障協定発行済

ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア

社会保障協定に著名済

イタリア、中国、スウェーデン

社会保障協定の交渉中

トルコ、フィンランド

社会保障協定の予備協議中

オーストリア、ベトナム

このようになっており、日本人が社会保障協定の発行済みの国で働く場合に、現地採用か日本企業からの派遣(5年以内、5年超え)かで扱いが変わりますので、その点を含めて詳しく解説します。

社会保障協定が発行済みの国で働く場合

社会保障協定がすでに発行済みの国で日本人が働く場合は、

  • 現地採用:採用される企業のある国の社会保障制度に加入する義務がある
  • 日本企業からの派遣(5年以内):日本の社会保障制度に継続して加入する
  • 日本企業からの派遣(5年以上):原則として派遣される国の社会保障協定にのみ加入する

社会保障協定がない国で働く場合

社会保障協定がない国で日本人が働く場合は、

原則として、全てにおいて勤務する国の社会保障制度に加入する必要があるが、日本の企業との雇用が継続していれば日本の社会保障制度にも継続して加入する

海外に移住しても国民年金を支払い続けることはできる

海外に移住しても国民年金を支払い続けることはできる

海外に出ていき日本非居住者になることで、国民年金への加入は義務ではなくなりますが、日本国籍を持っているのであれば、国民年金に自主的に加入して支払い続けることができます。

国民年金の加入期間が受給要件を満たせば、どの国に住んでいても将来的に日本の国民年金を受給することができますので、そのように対処することもできるでしょう。

現在の日本の年金制度では、10年間公的年金に加入していれば受給権が発生(2017年に25年から10年に短縮)しますので、以前よりも年金をもらいやすくなっています。

さらに日本に戻る予定がない場合でも、年金の脱退一時金を請求すれば、一定額を受け取ることができ、それまでの年金を掛け捨てにすることもありません。

グローバル化で年金はどうなるの記事まとめ

海外に出る日本人が増えるなどグローバル化の影響は年金制度に様々な影響を与えます。

少子高齢化社会が進んでいる日本で、グローバル化により労働人口が減少すれば、それだけ年金を負担する人が減少し、年金制度の維持に悪影響を与えるでしょう。

しかし海外から高所得者であるホワイトカラーの人に日本に移住してもらい、そこで厚生年金を支払ってもらうことができれば、年金収入は増えることになります。

グローバル化による年金制度への影響はまだ未確定の部分が多く、プラスにもマイナスにも作用する可能性があるということ。

グローバル化社会では

法人税率の低い国に企業が集まり、社会保障制度の手厚い国に人が集まる傾向があるので、日本もそういった面での魅力を増やすことができれば、年金制度にプラスになるということ。

日本の年金制度改革は遅れていますが、社会保障制度の見直しも含め今から急ピッチで対応していけば、十分に間に合いますので政府にはそういった部分もしっかり考えてもらいたいものです。

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